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文書作成日:2025/05/20

不妊治療と仕事との両立の職場づくりマニュアルと助成金

少子高齢化による労働力人口の減少が進む中で、従業員の多様な働き方への支援は、企業の持続的な成長に不可欠です。両立支援のテーマとしては、育児や介護、病気治療など様々なものがありますが、近年、企業で対応が進められているのが、不妊治療と仕事の両立です。厚生労働省では、不妊治療と仕事の両立支援に関する企業向けマニュアルの策定や助成金制度の創設などの取組みをしています。以下では、これらの内容についてとり上げます。

[1]不妊治療を受けながら働き続けられる職場づくりのためのマニュアル
 厚生労働省では、企業向けに「不妊治療を受けながら働き続けられる職場づくりのためのマニュアル」を策定し、不妊治療と仕事との両立支援を導入する際のステップ(以下、「両立支援導入ステップ」という)や企業の事例などをとり上げています。ここで示されている両立支援導入ステップは、以下のとおりです。

 Step1 取組方針の明確化、取組体制の整備
 Step2 社員の不妊治療と仕事との両立に関する実態把握
 Step3 制度設計・取組の決定
 Step4 運用
 Step5 取組実績の確認、見直し

 このうち、Step2の実態把握は、従業員の不妊治療と仕事との両立支援の取組を進める上での出発点となります。その方法としては、社内の現状をチェックリストで把握したり、従業員の状況を把握するためにアンケートを実施したりすること等が挙げられますが、このマニュアルでは、この実態把握のために活用できるチェックリストやアンケート例が掲載されています。

 Step4の運用では、制度の周知やプライバシーの保護、社内の相談対応などがあります。社内の相談対応については、相談を受けた場合に、相談内容を誰にどの範囲まで共有してよいか、本人に確認しておくことが重要であり、電話で相談を受ける場合には相談を受ける担当者の性別が分かるようにしておくことの配慮が求められます。

[2]両立支援等助成金(不妊治療及び女性の健康課題対応両立支援コース)
 両立支援等助成金(不妊治療及び女性の健康課題対応両立支援コース)は、不妊治療と仕事との両立に資する職場環境の整備に取り組み、不妊治療のために利用可能な両立支援制度などを労働者に利用させた中小企業を支援するもので、2025年度に新設されました。女性の健康課題に対応するために利用可能な両立支援制度を設けたときにも対象になります。
 主な支給要件としては以下の4つが挙げられます。

  1. 両立支援制度として以下の6つの中から制度を導入し、制度利用の手続きや賃金の取扱い等を就業規則等に規定していること。

    休暇制度/所定外労働制限制度/時差出勤制度/短時間勤務制度/フレックスタイム制度/在宅勤務等

  2. 従業員からの相談に対応する両立支援担当者を選任していること。
  3. 対象従業員が導入した制度を合計5日(回)利用していること。
  4. 対象従業員について、制度利用開始日から申請日において、雇用保険被保険者として雇用していること。

 支給額は30万円で、1事業主あたり1回限りとなっています。

 また、不妊治療と仕事との両立がしやすい環境整備に取り組む企業を認定する「くるみんプラス」、「プラチナくるみんプラス」および「トライくるみんプラス」の制度も設けられています。厚生労働省では企業を支援する取組みを行っていますので、参考リンクを確認し取組み可能なところから進めるとよいでしょう。

■参考リンク
厚生労働省「不妊治療と仕事との両立のために
厚生労働省「両立支援等助成金のご案内

※文書作成日時点での法令に基づく内容となっております。




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